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2009年03月07日

初めての逢瀬(1)− 胸元

「あなたとこうして逢えるなんて、まるで夢のようです」
 夕闇迫るホテルの一室。かはたれの闇の中で、均整の取れたあなたの体を抱きながら、ぼくはそう呟く。そして、また唇を求めてしまう。
 
 二人の身長差から少し顔を上に向けたあなたは、目を閉じてぼくを受け入れてくれる。キスをするのは、これで二度目。最初は、告白後の初デートだった。その時以上に、ぼくの心臓は高鳴っている。
 
 あなたは、白いブラウスを着ている。下は、濃い色のタイトスカートだ。ホテルまでの道のりは、初夏の陽射しに満ちていた。なのに、その二の腕はひんやりとしていて、透明感のある素肌は静謐な艶やかさを湛えている。
 
「あの……本当に、あなたを抱いてもいいんですね?」
 いいからこそ、あなたはここに来たんじゃないか。それは、よくわかってる。だが、確認せずにはいられない。
 ここからの一歩は、引き返すことのできない一歩だ。重ねての問いかけは、あなたに対してだけでなく、自分自身にも向けられていた。
 
「……はい」
 あなたのいらえは、小声だがはっきりしていた。その声に勇気づけられるように、ぼくはブラウスの一番上のボタンに手を伸ばす。しかし、指先が震えて上手くいかない。
 
 普段から確かに不器用だが、まさか緊張のし過ぎで、現実にこんなことが起きるとは思わなかった。
「ごめんなさい。悪いけど、自分で外してくれますか?」
 そう告げた声も、平素の自分からは考えられないほど上ずっていた。
 
 会うのは、今日が三度目になる。それだけの関わりで深い仲になるなんて、尻軽な女だと思われはしないだろうか。あなたがそれを恐れていたのを、ぼくは知っている。
 だが、会うまでに交わしたたくさんの会話で、あなたがそんな女じゃないことも、ぼくはよくわかっている。
 
 恥ずかしげにうつむいて、あなたは一つずつボタンを外してゆく。白い肌があらわになるに連れ、胸元から成熟した女の匂いが立ち上る。肩が性感帯だといっていた。そこに歯を当てて、軽く甘噛みしてやる。
 
「あぁっ……そんな」
 思わず声をあげるあなた。薄手のブラウスの裾をスカートから引っ張り出して、前をはだけさせた。ブラの色は白。きめ細やかなあなたの肌に、よく似合っていた。
 
「こんなに震えて、ぼくが怖いんですか?」
 その問いかけに、あなたは小さくかぶりを振る。
「ううん、貴方がじゃないの。これからの自分が、かもしれない」
 消え入りそうな声で、あなたがそう口にする。
 
 その体を諸手で抱きしめ、背中に回した両手でホックを外す。
「ぃやあっ……」
 吐息交じりの小さな悲鳴。だが、拒否ではない。それはわかっている。肩口から、ブラの紐を滑らせて下ろし、形のよい胸をあらわにした。
 
 初めて目にする、あなたの乳房。程よい大きさの乳輪。その夢幻的な美しさに、ぼくは思わず息を呑む。実に軟らそうでありながら、確かな存在感に満ちている。
「あぁ、あなたの香りがする。とってもいい匂いだ」
 
 これは秘密の逢瀬だ。誰にも知られてはならない。ぼくへの移り香を心配して、あなたは香水をつけていない。
 仄かに香るのは、あなた自身の体臭だけ。成熟した女の色気の中にも、少女の初心な恥じらいを感じさせる、清らで爽やかな匂いがする。
 
 肌を晒す緊張からか、乳首は小さく縮こまっている。その鈍色の真珠を唇に含み、舌で転がしつつ、軽く吸い立てる。
「……あっ、あぁっ!」
 つぐんだ唇の隙間から、押し殺したあえぎが漏れた。ブラウスを腕から抜き取り、続けてブラも取り去ってしまう。
 
「あぁん、いやっ……恥ずかしい」
 両の手のひらで、胸元を隠そうとするあなた。相手の気を惹こうという計算ではない、自然な恥じらいの仕草だ。しかし、それが男にとっては一番の媚態になる。
 
「大丈夫。あなたは、本当に綺麗だから」
 耳元でそう囁きつつ、ベッドの端に腰掛けさせる。並んで腰を下ろしたぼくは、あなたの裸の肩を抱き寄せて、その上半身を掛け布の上に静かに横たえた。



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posted by 紫紺@官能小説 愛玩熟女 at 12:33 | 初めての逢瀬
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